フリー台本（ボイスサンプル用原稿）【短いバージョン⑪】

おやおや。

魂を迎えにきたら、

まさか、私とおんなじ顔をしているとは。

双子がいるとは聞いてないんだけれど。

まあいい。

私がやるべきことは、この女性の魂を天へと届けること。

それだけなのだから。

まだ、人間界に未練がある？

それも、惚れた男に会いたいとねえ。

知ってるよ。

そいつは、三股をかけてるろくでなしだろう？

やっほーー。

迎えにきてあげたよ？

え？　テンション高い？

えー。これが普通だよ。

あんたこと、その辛気臭い顔、なんとかしなさいよ。

やあやあ。

君が、昨日、この病院で死んだ子だね？

どうして知ってるか？

業務連絡がきていたからさ。

さあ、行こうか。

困ったなあ。

あ～、困った。

ボク、魂の子とはぐれちゃった。

先輩に怒られちゃうよう。

おーい！　どこに行ったの～。

天国がどんなところかって？

うーん。

辛くもなければ、楽しくもないところかな。

僕にとってはね。

おい！

そろそろ行くぞ。

あとがつっかえてんだよ。

ここにいたって、人間に戻れるわけじゃないんだからな。

あーもう、泣くなってば。

仕方ないな、あと一時間だけだぞ。