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ー表記内容ー
台本名 | 当ページのタイトル |
作者名 | 紺乃未色(こんのみいろ) |
サイト名 | フリー台本サイト「キャラコエ」 |
台本URL | 当ページのURL |
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概要
カテゴリ | 練習用台本(一人・朗読) |
---|---|
ジャンル | ファンタジー・おとぎ話風 |
設定 | 森に住む不思議な少女、フェルデリナにまつわる物語。 |
注意 | このストーリーはフィクションです。実在する人物や団体、出来事などとは一切関係がありません。 |
※こちらは、朗読を練習する用の台本です。
ひとつのストーリーとして完結している朗読台本は「朗読(読みきかせ)台本」のカテゴリにまとめています。
練習用台本「森の少女フェルデリナ」
シーン①
遠い昔の話です。
とある森に一人の少女が住んでいました。
その少女はフェルデリナと呼ばれています。
フェルデリナは不思議な存在でした。
つややかな髪も、輝く瞳も、温かな肌も持っていません。
全身が白い骨でふちどられていて、それを隠すように赤いマントに包まっています。
シーン②
森の動物たちはよくフェルデリナのところへと遊びにやってきます。
彼女はとっても物知りでした。
なにせ、フェルデリナはもう三百年以上生きているのです。
花の名も、星の名も、雨の名も、それはそれはよく知っていました。
シーン③
「ねえ、フェルデリナ。今、楽しい?」
ある時、一匹の小鳥が尋ねました。
「ええ、楽しいわ」
フェルデリナが答えます。
「そう。よかったわ」
小鳥はそう言うとフェルデリナの頬骨に頬ずりしました。
シーン④
またある時、一匹のリスがこう尋ねました。
「フェルデリナ、元気かい?」
「ええ、とても元気よ」
フェルデリナは答えます。
「それはよかった」
リスはそう言って、太ももの骨に頬ずりしました。
シーン⑤
またまたある時、一匹のシカが尋ねました。
「フェルデリナ、君は今何を見ているんだい?」
「あの木のふもとにいる子ウサギを見ているわ」
フェルデリナはまっすぐ前を指差して答えました。
「ああ、本当だ。可愛いね」
シカはそう言って、腕の骨に頬ずりしました。
シーン⑥
フェルデリナはすでに気がついていました。
幸せだと伝える表情も、元気だと伝える体温も、未来を見ていると伝える瞳も自分は持っていないのだと。
最初のころは切なくなることもありましたが、三百年も生きていると感覚が慣れてしまうのか、今では気にしていませんでした。
ただ、ときどき思うのです。
もしも、あの村の少女たちのように、美しい髪や、澄んだ瞳、薔薇のように色づいた頬があったのなら、もっと幸せになれるのではないかと。
そんな肉体への憧れの気持ちは、ある時に執着へと変化します。
そう、フェルデリナは人間の男に恋をしたのです。