フリー台本（ボイスサンプル用原稿）【夏バージョン⑤】

もう！

タクマったら、思いっきりボール投げるんだから……。

このへんに、転がってきたと思うんだけど、どこに行ったのかしら。

あら？　あんなところに井戸なんてあったかしら？

光ったわ！！！　なにかしら？

ダメよ！　お姉ちゃんったら、また迷子になるわよ？

だいたい、こんなところにトンネルなんてなかったもの。

あたし、なんだか嫌な予感がするの。

ねえ、帰りましょうよ。おばあちゃんが心配しているわ。

え？　未来から十年後から来たわたし？！！　あなたが？

たしかに、似ているような気もするけれど……。

そんな非現実的なこと、あるものですか！　わたしはね、そういうの信じないの。

さっさとここから出て行かないと、不法侵入で訴えるわよ。

うわあ。俺、迷子じゃね？

あ、あそこにいる女の人に道を聞いてみよう！

すみませーん！

ってあれ？消えた？

ん？　俺、幻でも見てたのか？

「魔法の呪文……」？

なんだ、この紙きれ。

誰かがいたずらでポストに入れたのか？

……でも、こういうのちょっとワクワクするよな～。

あとで、試しに唱えてみるか！

兄ちゃん聞いてくれ！

俺、今年の夏こそ、クラスメイトのやつらに、カッパは存在するって証明してみせるんだ！

ほら、さっそく池の方で物音がする。そっと近づいてみよう。